今年も長芋(ヤマノイモ)の収穫が最盛期です。我が家では、半分は年内に掘って・・・残りは畑で越冬し、春に掘るんですよ。工事現場などで活躍しているバックホーという機械で脇を掘って・・・あとは結局手作業です。折れやすいので慎重に作業しないといけませんが、1mを超える長芋が掘れると「おおっ~!」と感動します。
ここからは、ウンチクです。
生で食べられる唯一のイモ
中国では、ヤマイモの外皮を除いて乾燥させた「山薬」を、強壮・健胃・整腸剤とするほか、八味丸の原料にも使用しています。中国では乾燥品をスープに入れて食べるのが普通ですが、日本では生で「とろろ」と
して食べるのが一般的です。普通のイモ類のデンプンは、加熱しないと消化が悪く、生で食べることはできませんが、ヤマイモはデンプン分解酵素であるジアスターゼをダイコンの3倍も含んでおり、糖質分解酵素のアミラーゼも含有するため、そのままでも十分消化できます。むしろ加熱はこれらの消化酵素を壊してしまうので、ヤマイモは生のまま食べたほうが消化が良いと言われているほどです。
また、栄養価は高いけれど消化しづらい麦飯も、とろろをかけて食べると、これらの消化酵素が働き、すんなりと吸収できます。
なお、とろろ汁のようにすりおろしたり細かく刻んだりすると、ヤマイモの細胞が破壊されて酵素が浸出するので、より消化が良くなります。もちろん、このときも加熱しないほうが良いので、出し汁を使うときは40~50℃程度に冷ましてから使用すると良いです。
ヌルヌル成分
ヤマイモには「山うなぎ」という別名がありますが、これはヤマイモとウナギがともにヌルヌルしていて、食べると「精がつく」という共通点によるものです。このぬめりの正体であるムチンは、蛋白分解酵素や粘膜修復作用があるため、たんぱく質の消化・吸収が促進され、エネルギーとして利用されやすくなっています。豊富な消化酵素とともに、胃腸が弱く疲れやすい人にはうってつけの食材です。
また、最近では粘液成分の一つであるデオスコランに血糖値を下げる働きがあることがわかってきました。デオスコランは、消化管内でブドウ糖を吸着し、体外に排出するとともに、腸管での糖の消化吸収を抑制す
るため、食後血糖値の急激な上昇が起こりにくく、膵臓の負担が軽減されます。
そのほかヤマイモは、食物繊維やカリウム、ビタミンB1、ビタミンCも豊富です。食物繊維は便秘の解消だけではなく、腸管でのコレステロール再吸収を阻害します。また、カリウムは、ナトリウムの排泄を促進し、降
圧作用を示します。カリウムの目標摂取量は1日3500mgで、ヤマイモは100g中に500mgを含んでいます。
ヤマイモは直接触れると手や口がかゆみくなるのは、皮付近に存在する針状結晶のシュウ酸カルシウムが皮膚に刺さるからです。この結晶は弱いので、酢やレモン汁つけると溶解し、痒みが治まります。