半農半Xという言葉。

みなさんは、半農半Xという言葉を聞いたことがありますか。
20世紀の終わりに、サラリーマンをしていた方が提起したコンセプトで、「持続可能な農ある小さなくらしをベースに天から与えられた才能を独占するのではなくて、シェアして周りのみんなに生かす」という概念です。

これは、拝金主義に疑問を感じたり、サスティナブルではない自身の暮らしを見つめ直し、農を暮らしに取り入れて、自分自身の才能も生かしていこうというものです。
凄くいいと思います。

でも、私が今感じているのは、ちゃんと農業だけで食えている専業農家の半農半X化こそが、必要なのではないかなと感じています。
こんな事を考えるようになったのは、平成17年にAPECの会議にインドネシアに同行させて頂き、北スマトラ島に行った時に遡ります…。

現地には1週間ほど滞在し、各国の農業者や農学者、経済学者などと交流させて貰った時にこんな会話がありました。
「私たちの国では、早朝から田んぼに行き仕事をし、昼間は昼寝をしている。夜は各々が芸術にいそしみ、たまにそれを発表し合っては過ごしている」「私達も日本の農業者の様に豊かになりたい…」
これを聞いたときに私は、「完全にあなたの方が豊かな暮らしを実現していますよ」と。

農業などの自営業は、「もうこれでOK」という事は無いので、ついつい「売り上げ」や「利益」を追いかけたくなります。また追い打ちをかけるように、周囲からは限りない効率化と大規模化が正義だと教え諭されます。

だけど敢えて言います。
儲かっている、農業だけで食えている農家にこそ、そっと(ここ大事)伝えたい。
何のために働くのかと。
心の豊かさを求めるために、芸術に勤しむ。
いま日本の農家こそ原点に回帰しないといけないと感じています。
絵を描く、音楽を奏でる、舞踊…そう伝統的な祭りですね。
一見、生きていくことに必要不可欠では無さそうに思える、芸術にこそ私たちが人間として豊かに生き抜くヒントがあるのは間違いなさそうです。
コロナ禍で、全てがしぼんでいるように感じますが、人が人として生きていくには、何が必要なのか。もう一度考えてみても良さそうです。

芸のない私にも何ができるか、考えてみます。