衆議院選挙から新聞紙上を賑わしてきたJA全中の解体騒ぎ。
一般社団法人化し、全国の農家からの賦課金収入を絶って決着したかのようにも見える。
これで、農業も呪縛から解放されて、儲かる農業に転換し、バリューチェーンの構築・輸出の拡大…と言葉だけが躍る…。
確かに中央会に指導権や監査権はありますが、それで、経営が著しく制約されているわけではありません。その気のある農家・その気のある農協はすでに取り組んでいます。
ただ、今までの農業政策は、農業者のための政策というより、関連産業のための政策という色合いも強いのも事実です。
農協の職員全国で25万人、農林水産に関連する地方公務員3万人以上、土地改良区1万人以上。全国で専業農家は30万戸程度しかいませんし、年々減っていっています。農業という業界が社会の成熟とともに大規模化、専業化、少数精鋭化していくのに、関連業界が対応できていないのではないでしょうか?例えば一歩先を行くオランダなどでは、公務員がコンサルティングするのではなく、民間会社がコンサルティングしています。研修と指導は無料だと思っている農業者が多いですが、そんな無料の研修や指導で経営が劇的に改善したためしがありません。だって、全員に同じことを言うのですから…。
自給率が低いと食糧安全保障の危機、儲かる農業に、輸出で活路を…。と言葉だけが躍りますが、政策に躍らされない経営を目指したいものです。
人間の欲は際限のないものです。儲けようと思えば思うほど、自然からは離れた手法になっていきます。
こんな時こそ「足るを知る」という言葉をかみしめつつ、より良い豊かな社会の実現のために農業が果たす役割とは何かを考えたいと思います。