みなさんも越後七不思議というのは、聞いたことがあると思いますが、その次に珍しいということで名付けられた果物があります。そうです、八珍柿です。種がなく平たい形をしているのが特徴です。渋柿の女王ともいわれ、和歌山県や山形県でも盛んに育てられています。この柿の祖先(いわゆる原木)はどこにあるのかご存知でしょうか。実は私の住む新潟市秋葉区にある木が原木だということなのです。そこから日本全国に広がっていったことが調査され分かりました。県内では佐渡ヶ島で最も生産量が多いため別の名前でスーパーなどでは並んでいますが、先祖をたどれば全てこの秋葉区の木にに辿り着くということになります。
この秋葉区の特産果実を知ってもらって味わってもらおうと、地元の小学生と一緒に授業の一環で柿について勉強しています。幸い小学校から柿畑は歩いて10分ほどですので、年に3回ほど畑に来てもらい、成長の様子を畑で実感してもらっています。収穫して柿を試食する時に驚いたのは、「柿が嫌い」という子どもがとても多いことです。その理由としては、「食べたことがない」「あの食感が嫌い」という子どもが多かったのです。ご存知の方も多いと思いますが八珍柿は収穫した時はとても渋くそのままでは食べられません。そこで、炭酸ガスやアルコールを使った「渋抜き」という作業を経てトロリとした食感の甘い「さわし柿」となる訳です。昔から「柿が赤くなると、医者が青くなる」という言葉がある通り、柿はとても栄養豊富な果物です。是非、沢山食べて元気になってもらいたいですね。
そこで私は、柿嫌いの子どもでも食べられる「カリカリの食感の柿」は出来ないものかと考えました。そして辿り着いたのが「樹になったまま渋を抜く」という方法です。この方法だと手間はかかるのですが、カリカリの食感のまま渋を抜くことができますし、果肉は黒っぽいゴマ状のものが入った状態になります。この柿を小学校の授業で子ども達が自分の手で作業し育てます。そして秋には、樹になったままに渋を抜いた柿とこれまで通りの手法で渋を抜いた柿を食べ比べて美味しさを比較してもらいます。同じ樹になっているにもかかわらず、全く違う食感の実ができる。こんな不思議に触れて疑問を持ってもらうのも授業のねらいの一つです。私の気持ちを慮ってのことかもしれませんが、春に柿が嫌いだと手を挙げた子ども達のほぼ全員が「美味しい」と言って食べてくれるのが毎年の喜びです。